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~明日は明日の風が吹く~…なんてね。
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2月4日
午後12時41分、父方の祖父が亡くなった。
立春の暖かな昼下がりに、逝ってしまった。


結局、私が伝えたい事は伝えられないままだった。
『ありがとう』と私が言ってしまったらそれで終わってしまいそうで怖くて、水曜に見舞いに行った時もそんな事は言えなかった。
まだ言わずにおくから、自分の口から言えるようになるまで生きていてほしい…そんな願いがあったのかもしれない。
そうしたら、結局伝えられないまま逝ってしまった。
そんな自分が悔しくて、祖父に申し訳なくて、涙。


死に際を看取った父曰く、大往生だったらしい。
ロウソクの火が消えるように、穏やかな最期だった…と。

祖父の生き方から考えるに、多分実際に大往生だったのだろうと私も思う。
だが、飲んだくれていつもより口数の多くなった親父は、どこか寂しげだった。





2月5日
祖父の入棺。

しかし、『準備が遅い』と家族に家に置いてきぼりにされる。
昨晩はほとんど一睡も出来ず、精神的にも不安定で朝はどうしても体が動かなかった。
パンを一片食べて安定剤を飲んで、やっと落ち着いてから電車で一人祖父の家へ向かう。

久々のスーツ、久々に履くローファーが擦れて少し痛む。


祖父の家には幼稚園を出るくらいまでは私も住んでいたのだが、断片的な記憶しか残っていない。
祖父は病院で寝たきりのことが多かったし、そうでない時も通院の都合上もう1つの別の家に居る事が多かったので、多分引っ越してから一度も行かなかった土地。
そんな訳で、駅についてみたところで、道がほとんどわからなかった。

『迎えに行こうか?』という連絡も受けたのだが、まだ入棺まで時間もあったので、敢えて断って少し散策がてら歩き回ってみた。


断片的な記憶に因る12年前と比べて、随分と変わった街並み。
だけど、それでいて変わりないようにも思える。
自転車の練習をした公園、こんなに小さかったっけ。
よく使っていたスーパー、当時は出来たてでピカピカだった建物も年季が入ったなぁ。


“なんとなく”直感の赴くままに歩いていたら、それでも祖父の家に着いた。驚いた。
恐るべし、幼き日の記憶。
あるいは…呼ばれたのかもしれない。



祖父は、穏やかな表情をしていた。
数日前は肺炎で苦しげな表情で荒い呼吸をするだけだった人が、どうしてこんなに穏やかな表情で逝けたのだろう。
そんな話、フィクションの中だけだと思っていた。
『天寿を全うする』という言葉の意味が、少しわかった気がする。


人の死をこんなに身近に感じたのは、初めて。
1歳だか2歳の時に祖母を失っているのだが、それは流石に記憶がない。

目に映るもの全てが、初めて。
変な話、本物の遺体なんて見たこともなかった。
葬儀なんて、既にスタンバイされた通夜・告別式しか知らないし。
出来ることならば、あんまり知らずにいておきたいくらい。

だけど、知っておかなければならないこと。
祖父は、一番最後に一番大切なことを教えてくれているのかもしれない。

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不登校時代に「エターナルカオス」というゲームが大好きだった、とある平成生まれ。
現在は、どうにかこうにか社会人。

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